電験3種WebHandMade[過去問・解答・重点学習]

三相誘導電動機の等価回路と関連式


三相誘導電動機は構造が簡単かつ制御が容易なので、ポンプ、圧縮機、送風機、エレベーター、エスカレーターなどの社会経済活動を支える動力源として必要不可欠なものとなっている。





パワーエレクトロニクスの発展により、以前より制御が容易になった。


1.三相誘導電動機の等価回路


三相誘導電動機の等価回路はその動作原理から、下図1のように変圧器の等価回路をカスタマイズしたもので表すことができる。








上図1の等価回路は、二次側の誘導起電力を二次側の回転子が静止している時の誘導起電力を採用することにより実現したものである。(二次リアクタンスも静止時の値になる)
この場合、等価出力抵抗が変圧器に接続されている変動する負荷と同じような役割を担うことになるので、計算がしやすくなる。



2.等価とは


等価(とうか)とは、お互いの価値や働きが同じであることをいう。

【例】ニ枚の500円玉と一枚の千円札と同じ価値があるので、等価変換することができる。





3.一次換算等価回路


三相誘導電動機の諸計算は上図1の等価回路を原典として、一次側に換算した図2のT形等価回路→図3のL形等価回路→図4の簡易等価回路と要求される計算精度に応じてカスタマイズを実行する。

ダッシュ「'」の記号は、二次側を一次側に等価変換したことを意味している。


誘導電動機のT形等価回路













4.誘導電動機の動画(YouTubeより引用)









5.一次換算L形簡易等価回路の計算式


三相誘導電動機の諸計算は、上図3の一次換算L形等価回路を採用することが多いので、この等価回路の計算式を示しておく。






6.同期速度とすべりと二次周波数とトルク





上図の誘導電動機の固定子巻線(一次巻線)は固定されているが、この巻線により下図のような回転磁界が発生している。





この回転磁界の回転速度を同期速度Nsといい、固定子の磁極数をp、電源周波数(一次周波数)をf[Hz]とすれば、下式(10)で表すことができる。



二次誘導起電力は、同期速度Nsと回転子の回転速度Nの相対速度差に比例して発生し、二次側の回転子が回転するためのトルクT[N・m]は、二次誘導起電力が発生しないと得ることができない。

よって、下式(11)のすべりsが定義されている。



上式(11)から、二次周波数(すべり周波数)f2[Hz]は下式(12)で表すことができる。




上式(11)から、回転子の回転数がN=0のとき(静止)のすべりはs=1となる。
また(12)式から、s=1のときの二次周波数はf2=fとなるので、静止時の二次誘導起電力をE2[V]、静止時の二次リアクタンスをx2[Ω]とすれば、回転時の二次誘導起電力と二次リアクタンスは下式(13)と(14)で表すことができる。




トルクT[N・m]は、機械出力P0=ωT=2π(N/60)Tの式から計算することができる。





トルクの比例推移は、電験3種の過去問題平成27年度機械問15を参照のこと。



7.等価出力抵抗の出典


ここでは、下図の誘導電動機二次側の等価回路から、等価出力抵抗R0の式の確認をする。
(13)と(14)式を参照のこと。





例題1


下図のような三相誘導電動機の一次換算L形等価回路(一相分)がある。
この等価回路の各値が、r1=0.1[Ω]、x1=0.1[Ω]、r2'=0.2[Ω]、x2'=0.1[Ω]、R0'=4.8[Ω]、g0=0.03[S]、b0=0.2[S]、V1=116[V]、I1'=22.7[A]であるとき、下記1〜7の三相分の値を求めよ。



  1. 鉄損Pi[W]

  2. 一次銅損Pc1[W]

  3. 二次銅損Pc2[W]

  4. 機械出力P0[W]

  5. 一次入力P1[W]

  6. ニ次入力P2[W]

  7. 電動機効率η[%]







例題2


三相誘導電動機がすべりsで運転しているとき、二次銅損Pc2[W]の値は二次入力P2[W]の(ア)倍となり、機械出力P0[W]の値は二次入力P2[W]の(イ)倍となる。
また、すべりsが1のとき、この誘導電動機は(ウ)の状態にあり、このときの機械出力の値はP0(エ)[W]となる。
上記の(ア)〜(エ)に当てはまる答えを書きなさい。

〔電験3種/平成17年度/機械問3一部改定〕






例題3


三相誘導電動機をすべりs=0.03で運転したところ、機械出力P0=34.8[kW]、一次銅損Pc1=3.8[kW]、鉄損Pi=1.4[kW]であった。
下記1〜2の値を求めよ。

  1. 二次銅損Pc2[kW]

  2. 一次入力P1[kW]

〔電験3種/平成18年度/機械問16一部改定〕






例題4


定格出力Pn=36[kW]、定格周波数fn=60[Hz]、極数p=8の三相誘導電動機をすべりs=0.05で定格運転させた。
このときの三相誘導電動機のトルク[N・m]の値を求めよ。

〔電験3種/平成16年度/機械問4一部改定〕